樺太 閑話("新たなアプローチ")
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090218/plc0902181101005-n1.htm
麻生首相、ユジノサハリンスク着
2009.2.18 10:57
このニュースのトピックス:麻生内閣
【ユジノサハリンスク=田中靖人】
麻生太郎首相は18日午前、全日空チャーター機で羽田空港を出発、サハリン(樺太)南部のユジノサハリンスク空港に到着した。この後、ロシアのメドベージェフ大統領と会談し、日露両国間の懸案である北方領土問題や、極東地域での資源・エネルギー開発協力、プーチン首相の訪日時期などについて協議する。
首相のサハリン訪問は、日露両国の企業が参加する石油・ガス開発事業「サハリン2」の稼働式典への招待を受けたもので、日本の首相としては戦後初めてとなる。同日夕にも羽田空港に帰着する。
本日、遂に麻生総理が南樺豊原の地に降り立った。
屈辱の日であり、声涙下る。
今日という日を忘れてはならない。否、忘れるような歴史を作る事を国民の多くは考えねばならない。亦、現状の外務を司どる者達に過去200年の北方の大地と島々の歴史をもう一度精査させる必要性を噛み締めねばならない。
抑々麻生総理の後ろに引っ付いている外務省高官連中は何を考えて樺太訪問を了としたのか。麻生総理は祖父吉田茂が桑港平和條約に於て「南樺太と千島は日本領疑い無いが、涙を飲んで権原を放棄した」其気持を斟酌し得ないのか。
過去、外務省が豊原に領事館を設置した其恐るべき失態を何故教訓として学ぶ事がないのか。
外務省は、「実効支配が長期間故に帰属未定は失効している」との解釈を打ち出してしまった。其解釈は現今日本海城に於ける竹島の帰属問題に極めてリンクする事を考えれば、外務省の見解は韓国に利する。
呆然とし、呆れ果て、其歴史を顧みない政策立案執行状況に涙が止まらない。
露西亜薩哈嗹洲知事が空港に出迎えての其様子は、将に樺太が遂に日本政府の手から完全に離れた事を顕わすのか、昨年末以来細やかに流されている「噂の域を出ない情報」を考慮すべき物なのか、何にせよ、現段階では屈辱以外何物でもない。
メドベージェフ大統領との会談に於て、「新たなアプローチ」という言葉が飛び出した。"新たなアプローチ"とは 何を指す物なのか、更に麻生総理は亜米利加に24日には飛び立ち、オバマ大統領との会談に臨む事となる。
今般の対露首脳会談の状況説明と亜米利加が絡む問題の多くが話される事にもなろう。勿論、表向きの主要議題は経済対策であり、北朝鮮であろうが。亜米利加にとっての露西亜という国に対する状況を考えれば、何かしらの問題を日米で提示合議する筈だ。
先日迄記したが、江戸幕府は中千島・北千島の帰属を諦めたが、樺太に対してだけは一歩も譲らなかった。勿論外交は強行一点張りだけでは不可能故に" 互譲の精神を以て"当時国際社会で認識されていた北緯50度国境迄は譲歩したが。夫れでも樺太の日本領有は決して諦めなかった。
日露和親條約に立返るのならば、樺太の帰属日本復帰は外せない案件であると考える者として、昨年末の不確かな案件は非常に興味をそそり注視していたが、茲に来て「新たなアプローチ」という言葉が出てくるとは。
夫れにしても、「新たなアプローチ」か。
後数年は先ず注視を怠ってはならない状況ではあるとは思うが…。
夫れにしても豊原の地に麻生総理が、か……。
樺太の開発に精を出した幾万の祖先達の苦衷、樺太防衛を志した幕府高官・交渉使節の苦悩、露西亜との防衛戦に尽力した松前藩士達の熱誠、明治天皇の失った領土への思い、樺太の南半本土復帰に狂喜した明治の国民達、北樺太(薩哈嗹)復帰を志した大正の為政者達と、現場に赴いた軍将士の思い、先の戦争で降服後の侵掠に峙した樺太住民達の苦難………。
其全てを忘れ去った政権・政党に、未来を任せる事は出来得ない。
悠久の大地、北の果ての樺太。其復帰を現状がどんな状況であろうとも切に祈り、願い弛まぬ志を持して之からを注視して行く。
February 18, 2009 in 北方領土・樺太・千島列島・勘察加 | Permalink |