東條首相比島訪問の意義 大阪毎日新聞 1943.5.7(昭和18)
大阪毎日新聞 1943.5.7(昭和18)
東條首相比島訪問の意義
社説
東條首相を迎へたマニラ市民感謝大會は、同大會の決議において「大日本帝國の任侠的指導と比島及び比島人に對する歴史上その類いなき寛仁なる政策に對し、不滅の感謝を表明するものなり」と結んでいる。それはバルガス行政長官以下良識ある比島人の信念を、率直に吐露したものと、吾等は見る。事実、右の大會において、東條首相が聲明してゐるやうに「この大戰はわれわれ大東亞十億の民族が、眞に道義に立脚して新しい大東亞を建設せんとする一大征戰である」のである。かかる雄偉なる構想と高邁なる理想の顕現を期し、敢て帝國がその國運を賭するといふことは、文字通りに史上空前の大業である。皇軍の善謀勇戰によって敵アメリカの搾取と桎梏から解放された比島及び比島人が大東亞及び大東亞民族の一環として、新たなる大東亞の建設につき、帝國に對して全面的に協力すべき使命を担つてゐるのは、寧ろ自明の理といはなければならない。
比島および比島人が、この歴史的使命の完遂を期するには、東條首相が親しく比島民に向って指摘してゐるやうに、誤れるアメリカ主義を速かに一掃して、民族興隆の源泉である剛健進取の氣風を養ひ、大東亞民族の眞の姿に立ちかへることであつて、それが着々と具現してゐるのは、比島及び比島民のために、更に大東亞のために慶賀に堪えない。
東條首相は昨年来既に再度に亘つて、比島民が「帝國の眞意を諒承し、積極的にわが施策に協力し來るときは、欣然、獨立の榮譽を與ふ」ることを、帝國政府の名において確約してゐる。しかして帝國が信念の実行に當つて極めて勇敢であることは、進展する大東亞の建設過程が雄弁にこれを実証してゐる。換言すれば、比島及び比島人の獨立は、彼等の努力如何に懸つてゐる。帝國の眞意を諒解し、帝國の企図する大東亞建設に向つて、全力的に協力するところに、比島獨立の顕現が期待される。東條首相の比島訪問は、かかる事態への比島民の認識を更新し、帝國に對する協力の熱意を唆る点において、多大の効果があつたであらうと吾等は確信する。
東條首相比島訪問の意義
社説
東條首相を迎へたマニラ市民感謝大會は、同大會の決議において「大日本帝國の任侠的指導と比島及び比島人に對する歴史上その類いなき寛仁なる政策に對し、不滅の感謝を表明するものなり」と結んでいる。それはバルガス行政長官以下良識ある比島人の信念を、率直に吐露したものと、吾等は見る。事実、右の大會において、東條首相が聲明してゐるやうに「この大戰はわれわれ大東亞十億の民族が、眞に道義に立脚して新しい大東亞を建設せんとする一大征戰である」のである。かかる雄偉なる構想と高邁なる理想の顕現を期し、敢て帝國がその國運を賭するといふことは、文字通りに史上空前の大業である。皇軍の善謀勇戰によって敵アメリカの搾取と桎梏から解放された比島及び比島人が大東亞及び大東亞民族の一環として、新たなる大東亞の建設につき、帝國に對して全面的に協力すべき使命を担つてゐるのは、寧ろ自明の理といはなければならない。
比島および比島人が、この歴史的使命の完遂を期するには、東條首相が親しく比島民に向って指摘してゐるやうに、誤れるアメリカ主義を速かに一掃して、民族興隆の源泉である剛健進取の氣風を養ひ、大東亞民族の眞の姿に立ちかへることであつて、それが着々と具現してゐるのは、比島及び比島民のために、更に大東亞のために慶賀に堪えない。
東條首相は昨年来既に再度に亘つて、比島民が「帝國の眞意を諒承し、積極的にわが施策に協力し來るときは、欣然、獨立の榮譽を與ふ」ることを、帝國政府の名において確約してゐる。しかして帝國が信念の実行に當つて極めて勇敢であることは、進展する大東亞の建設過程が雄弁にこれを実証してゐる。換言すれば、比島及び比島人の獨立は、彼等の努力如何に懸つてゐる。帝國の眞意を諒解し、帝國の企図する大東亞建設に向つて、全力的に協力するところに、比島獨立の顕現が期待される。東條首相の比島訪問は、かかる事態への比島民の認識を更新し、帝國に對する協力の熱意を唆る点において、多大の効果があつたであらうと吾等は確信する。